公開日 2017年1月29日
- 所有者
- 川上村
- 所在
- 下多古区
「コウヤマキ」とは、お盆の墓参りや仏壇の花として親しまれている、いわゆる皆さんが言う「マキの木」です。
ところが、あちこちにあるコウヤマキは、花として日常使用されて枝や芯を取り去って使うことが多く、大きく成長させることがすくないと言われています。また、おおきな木は、昔から家具や建築用材にも加工され、マキ風呂などが重宝されてきました。こうした地域の人々の有用材であるコウヤマキは、成長させず切り倒されることもあります。吉野山如意輪寺の近くにある県指定文化財「コウヤマキ林」などは、もともと天然林ではなく、使うためにその昔植えられた人工林であると同時に、地域の人々によって枝などが切られた生活の跡が残されています。幹は太いがまるで変木のような形です。
専門家の調査報告では、下多古の宗像神社境内地の「コウヤマキ林」について、「下多古川左岸の大岩塊上に発達する、土地的極相を示す極めて貴重な針葉樹から成る群落である。」と書かれています。要するに貴重な針葉樹林であるということを言っているのでしょう。この「マキ林」は、すべてマキでなく、スギやヒノキに混じってマキがある状態です。天然林であり、自然に成長するがままにしてきた点がかえって良かったということでしょう。
近くには、「琵琶の滝」や人工林の歴史を語る「歴史の証人一下多古の森」もある自然いっぱいの地域です。また下多古には、村文化財「おかげ灯籠」も保存されており、豊かな川上村が息づいている貴重な場所です。今回、古い村を偲ばせる貴重な財産を保存継承していこうと、新しく村文化財に指定されました。