公開日 2017年1月29日
- 所有者
- 運川寺
- 所在
- 東川854番地
- 時代
- 江戸時代
この寺には、県指定「雲祥一筆大般 若経600巻(南北朝時代)」という有名な経典が残されています。また、これまでの村の文化財ではなかったユニークで貴重な文化財が見つかりました。それが、ここで紹介する絵巻物です。
霊場とは、観音様をおまつりしている堂(場)のことで、江戸時代の村内の寺、神社、お堂が色彩 もあざやかに描かれ、漢詩によりその風光が詠まれています。この絵巻物の内容は、以前広報でシリーズでご紹介したこともあります。
文政12年(1829)秋完成。詠歌や漢詩を運川寺18世白龍和尚が、絵は紀州(和歌山)鳥居興範が、書は藤原信正がそれぞれ担当したと記録されています。調査に当たられた慶応大学の紺野敏文さんは、「当時の筆者や制作者の背景がうかがえ、史的価値が高い」との意見を残しています。何よりも、当時の川上の各村々の寺・堂・神社の位 置と構(かまえ)を知ることができます。往時を忍ばせるものが少ない村内にとって、大変貴重な宝であるとともに、白龍和尚の遊び心と趣向が忍ばれる文化財でもありましょう。
なお、毎年1月9日、同寺と隣の神社で、後日このシリーズでも紹介する予定の村指定無形文化財「弓祝式」が営まれています。「鬼」と書いた的を矢で射る式など、村の他の行事にないほのぼのさを感じる行事です。この機会に、同寺を訪ねられてはいかがでしょう?