公開日 2017年1月29日
- 所有者
- 福源寺
- 所在
- 高原902番地
- 時代
- 南北朝時代
この寺には、巻物の「大般若経」が残されています。川上村で有名な「大般 若経」では、東川の運川寺の経典(県文化財指定)がありますが、運川寺では冊子の形をとっているのに対し、この寺のものは巻物です。対照的なこの2つの経典は、村に残る貴重な経典文化財の一つで、ともに「奥書」というお経の柊りに当時のメモが残されているのが特徴です。
福源寺の「大般若経」の奥書については、川上村史(史料編)にも全文掲載されていますが、元興寺文化財研究所の調査によると、『奥書中には、今日、遺品が20巻残されている「稲生西宮結縁経」(兵庫県)の内であることを記す記載があるものの、本巻は従来世に知られておらず、田中鬼堂「日本古写 現存目録」にも収録されていない。』としています。なお、「稲生西宮結縁経」は承安4年(1174)~安元3年(1177)頃にかけて書写 されたものだそうです。
いずれにしても、これまで知られずに埋もれていた経典であり、兵庫県から伝えられたということが分かりました。
また、この経典は奈良県教育委員会発行「奈良県大般若経調査報告書(2)」に詳細に紹介されています。一般 の方には読みにくいお経ですが、専門家は高く評価しています。