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私のネクストアクション 松下茉央 ~地域づくりインターン2017~

私のネクストアクション 松下茉央 ~地域づくりインターン2017~

2017年9月12日

去る2017年8月10日~8月23日の計14日間、川上村において地域づくりインターンシップとして学生2名を受け入れ致しました。

川上村地域づくりインターンシップとは

川上村は奈良県の南東部に位置し、500年の歴史を持つ吉野林業の地で、大滝・大迫ダムと緑のダムを抱える水がめの村です。吉野川・紀の川の源流から清らかな水を流域に届け続ける村づくりをしています。地域づくり、林業や環境教育などに興味がある学生を対象に、滞在型のインターンシップを平成10年度から実施、参加学生は延べ50名を超えています。

『地域のために、村民の暮らしのために、ともに動き、考え、動く。』

 

参加した2名の学生がこのインターンシップを受け、自身のネクストアクションとして何ができるかまとめました。それぞれの視点からの未来への動きとして皆様もご一読いただければ幸いです。

 

これからの自分のネクストアクション

近畿大学 総合社会学部 3年 松下茉央

 

1.参加したきっかけ

もともと森林や林業に興味はあったものの、知識は全くなく、なにをすればいいかもわからない状態でした。しかしたまたま読んでいた古川大輔さん著、「森ではたらく!27人の27の仕事」という本のなかにこのインターンのことが書かれていて、なんとなく行ってみよう、というのがきっかけです。あまり自発的な動機ではありませんが、参加してよかったと、心から思います。

 

2.活動を通じて学んだこと、感じたこと

●河川パトロール:観光地としての問題点

吉野川の支流はとてもきれい川で、お盆の期間中、たくさんの帰省客、レジャー客が川へやってきます。ただ川は国民のものだから遊ぶのは自由であるが、駐車やごみが深刻な問題で、なにより困るのはそこに住んでいる村民の方だと思いました。駐在さんや河川パトロールの努力の結果か、すこしはましになったとおっしゃられていましたが、自分の目からすれば残っていると感じることがあったり、数日間だけの我慢だからというあきらめのようなものが見えたりしました。

これからも観光に来る人はSNSの普及などの影響で増え続けると思いますし、そのたびにたくさんの人が来ればいつか大きな事が起こることも考えられます。川上村に対してなにも大きなメリットがないというのが自分の中でとても考えさせられました。

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河川パトロールの昼休憩時の写真です。朝日館のお弁当と川の水で沸かしたカップラーメンがとてもおいしかったです。食後はあたりを歩いて、気持ちよかったです。

 

●盆踊り:イベントとして地域の文化をつなぐ意味

一時は人手不足などで途切れていた盆踊り大会が地域おこし協力隊などの協力によって今再開できて続けられているということは地域の人々にとってとてもいいことだと思いました。

1年に1回集まって自分たちで準備して楽しんでというのは大げさにいうと、この村で暮らす生きがいや楽しみであると感じるし、村の人だけでなくインターン生や留学生、役場の人たちや駐在さんまで一緒になって楽しむことで村全体の一体感もできるし、それが地域おこし、まちづくりにつながっていくと思うので、川上村としてはとても良いイベントだと感じました。

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東川地区での盆踊りの写真です。東部地区に続いて2回目で、そんなに踊らないでもいいかなと思っていたけど、やっぱり踊ってしまいました。みんなで輪になって踊ると本当に楽しいです!

●かわかみらいふ:村で暮らし続けられる仕組み

2度あったかわかみらいふのお手伝いは村民の方の暮らしを支える仕組みのひとつ(ならコープの宅配代行、かわかみらいふ号の移動スーパーの2本柱)でした。

活動を通じて、本当にかわかみらいふは村民の方たちに信頼されていると思いました。行ったらしゃべってくれるよ!と事務局長の竹内さんに言われ、行ってみると実際に話してくれるし、温かい方たちだなぁと思いました。でもそれは運転手や保健師、スタッフの方が献身的なサポートを続けてきて互いに信頼関係ができていたからこそ初めて見た自分のような若者にも話してくれると思いました。行政が業務に関わることで一人一人により深く寄り添うことができるし、だからこそそれぞれのお困りごとを解消していけたり、支えになっていたりするということを教えていただきました。

最後に、村民の方の荷物を持って届けたときに「また来てな!」と言われ、嬉しさ半分、寂しさ半分で、胸が熱くなったのを忘れることはありません。

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かわかみらいふのお手伝い終了後に車庫前で記念撮影。事務局長の竹内さんは気さくな方で、気にかけてもらったり、いろいろなことを教えていただいたりしました。

●水源地の森トレッキング、大滝ダム見学:二つの水源地を守る取り組み

下流にきれいな水を流す、という川上宣言や水源地の村づくりの言葉通り、川上村が購入した740haの天然林では本当に手つかずの美しい森が広がっていました。500年前から始まった吉野林業のおかげでこの天然林は水を貯え、きれいな水を流し、あらゆる命を支えてきたのだなと肌で感じることができました。岩の上で寝転がったときは、ほんとに水音と風、虫の声で心が浄化されるようでした。

もうひとつ水源地の村づくりとして大滝、大迫の二つのダムと共存していくという使命や決意が村全体から感じられて、自分は何ができるだろうか、決して他人ごとではない、と考えさせられました。そしてなによりダムに沈んでしまった村や住んでいた村民の方たちがいたのだという事実が今までは自分は考えなかったことで、心に刺さり、改めて畏敬の念を抱きました。

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水源地の森トレッキングのお昼休みの様子です。岩に寝転がって目を閉じると、本当に心が安らいで、癒されます。

●2日間の林業プログラム:今までになかった視点

一般的に林業のイメージとしてはなんとなく森林を伐採するだけ、自分たちのことだけ考えて木を切っている、少し言葉は乱暴かもしれませんが、どこか悪い仕事というイメージを持つ人がいるかもしれません。

私はもともと森林や林業に興味があったため、少し調べていく中で、木を切る=環境に悪い、というのは間違いで、適切な方法で適切な量であれば自然を守っていくうえでも必要なことということを知りました。同時に、日本の林業は衰退の一途をたどっており、売れない、だから切ることもできない、切れてもどうすることもできないという現状があるということも知りました。ほんとうに日本は木を使うことがなくなったのだとこれまでは勝手にイメージしていました。

2日間、プログラムを受けてみて率直に思ったことは、自分もやってみたい!ということでした。それが一番大きかったですが、いくつかの気づきもありました。まず、木材の需要は確実にあるなということです。今は価格の安い外国材を使うほうが多く、自給率としては約26%というのが現実ですが、吉野かわかみ社中のような考えや奈良をつなぐ家づくりの会の活動がもっと広まれば、吉野材はもっと需要が増し、森林保全、林業、製材所、消費者、とつながりができていくのではないかと思いました。二日間終わってからは木を見て太いなぁ、まっすぐだなぁ、とか柱や床板をみてきれいだなぁという風に今まで気にもしなかった木に対する思いが出てきて新たな視点を持てたことをうれしく感じました。

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林業の現場を見学させていただいたときの写真です。切ったばかりの杉 の皮をむくと、つるつるで、潤った中身が出てきます。木のいい香りもしてとても美しかったです。

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現場を見た帰りの道路沿いにあった250年生の杉の木です。写真では伝 わりづらいですが、近くで見ているとパワーをもらえた気がしたほど大きな木でした。

 

3.“つなぐ”ということ

このインターンシップを通じて一番重要なことだなと思ったのは、“つなぐ”ということです。役場と村民の方たち、吉野川の水を川上から川下へ、吉野杉を山から現場へ。どんなことでも当てはまるとは思いますが、特にこの期間はつなぐという言葉をよく聞いたり、感じたりしたと強く実感しました。

 

4.ネクストアクション

はっきりと決まったものはまだありませんが、なにかとなにかをつなげられるような人になりたいと思います。川上村で経験したことや、杉の手触り、におい、美しさなど、伝えられることはたくさんあります。

将来的には、森林に関わる仕事がしたいと思っています。とくに森林保全、林業の活性化、チェンジ・エージェントを目指していきたいと考えています。林業プログラムのコーディネーター早稲田緑さんには、フォレスターという役割についても少しだけお話をいただけて、これから勉強を重ねて興味を深めていきたいと思っています。

どこで働くかほんとうにわからないですが、どんな形であれせっかくできた縁ですし、川上村とはつながっていたいと思います。

2週間で出会えたすべての方に、この場を借りて感謝を申し上げます。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

 

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最終日、一番お世話になった水源地課の皆さんとの記念撮影です。

ありがとうございました!

お問い合わせ

水源地課
電話:0746-52-0111