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ダムの底から龍神舞う神社へ。丹生川上神社上社、移住宮司が語る神社復興へのキセキとチカラ

ダムの底から龍神舞う神社へ。丹生川上神社上社、移住宮司が語る神社復興へのキセキとチカラ

2017年12月18日

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川上村では、色んな人が参加しながらホームページを使って情報発信する「 むらメディアをつくる旅  」を開催しています。今回は丹生川上神社上社の宮司・望月康麿さんを取材し、取材に参加した4名(小田芳美さん、鍛冶秀生さん、斎藤はる香さん、福井崇生さん)が記事を作りました。このページでは鍛冶さんの記事を代表例として掲載していますが、外部ブログに他3人分の記事も載せています。そちらもぜひご覧ください!

 

▼小田芳美さん
 
▼斎藤はる香さん
 
▼福井崇生さん
 
▼鍛冶秀生さん

ダムの底から龍神舞う神社へ。丹生川上神社上社、移住宮司が語る神社復興へのキセキとチカラ

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川上村は、奈良県南東部に位置する、山林が95%を占める自然豊かな村。500年以上続く吉野林業の中心地であり、豊かな緑からは吉野川の清水が脈々と流れる水源地の村でもある。そんな水源地の村に洪水被害軽減のためにダム建設(大滝ダム)が進められたのは必然の時代の流れであった。
かつて大滝ダム建設に伴い水没した神社、それが今回取材に訪れた丹生川上神社上社である。
 
温和な人柄がにじみ出る望月康麿宮司に案内された拝殿は、平成十年に現在の地に移された。拝殿内は檜の香りで満たされ、きらびやかな装飾がまぶしい。しかし、その印象とは裏腹に望月宮司が来るまでは地元の人が来ない神社であったという。

 

●神社本来の姿とは。

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古来、神社は人々が集い、豊作に感謝する場であった。その感謝が次の年につながる新しい力になっていった。人々の感謝の力が神社を神社たらしめているのである。
しかし、大滝ダム建設の影響で村民も自分たちの生活で精いっぱいだったこと、神社が移転したこと、これらにより地元の人たちが訪れなくなってしまった。
 
「地元の人が来ない神社は廃れる」
望月宮司の信念である。
 
そして5年前、静岡、神奈川を経てこの地にやってきた“移住宮司”望月さんの「地元の人に愛され、人が集う神社」への挑戦が始まった。
 
●境内でビール飲み放題!?望月宮司のユニークな神社づくり。

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夏、神社境内でビール飲み放題。
秋、観月祭で杯を交わす。
冬、新年会でさらに飲む。
 
お祭りを行うごとに社務所で集い、語らった。
「宮司が酒好きやからやってるんやろ!?」そう言われながらも、人が人を呼び、次第に丹生川上神社上社は地元内外から人が集まる神社に変わっていった。しかし、ただ飲みたかっただけではない。自ら人に接し、楽しんでもらえる雰囲気をつくるよう細心の注意を払い、人と人が出会う場づくりに専念した。望月宮司の「酒好き」は来てくれた人への思いやりの証なのである。
 
 
 
●神々を感じられる神社に・・・
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「神社は感じる場所」
これも望月宮司の信念である。
 
そのためには、いい雰囲気をだしていることが必要だ。
場にそぐわない看板や案内板、置物等を少しずつ撤去されている。
そして、常に境内をきれいに保つことを心がけた。
 
神社は人が集まる場所
神社は感じる場所
 
この二つのこだわりを徹底し、いつしか丹生川上神社上社には龍神様を感じる人が増えてきた。何かに導かれるようにしてこの神社にやってくる人も増えてきた。望月宮司自身も何度も龍神様を感じている、と言う。
 
 
 
●来年は遷座20年もっともっと人が来てほしい!
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平成30年5月20日。大祭が執り行われる。
厳かに。そして賑やかに。飲んで、食べて、たくさんの人に来てもらって本来の神社の姿を再現したいと思っている。
望月宮司、神主人生の集大成とするべく、只今準備に奔走中である。
 
 
インタビューを終えて
 
とても有意義な時間だった。
望月宮司の話を聞いている間、自分の体に力がどんどん漲ってくるのを感じていた。
 
丹生川上神社上社での5年間は決して楽なものではなかった。
しかし、酸いも甘いも経験した今までの神主人生での経験がすべて活きた。
 
「やりたいと思ったらやってしまう性格。」と勢いのよい言葉に現れるように、人を集めるアイデアをどんどん実行した。
 
私には、悩んでいることがあった。
自分のやりたい事、考えている事に自信を持ち、その考えを実行する責任と、その覚悟があるのか?ということだ。
 
そして、こう背中を押してもらえたような気がした。
信念や目的を持っているのなら、必要と思う事ならやればいい。そこから生まれてくるアイデアは実行に値するものである、と。
そして、その力はこれまでの人生で様々なことを経験し、乗り越えてきたあなたの中に備わっているのだ、と。
 
インタビューを終え、社務所の外に出ると、雨にもかかわらず、大勢の人が境内に訪れていた。
ふと見ると、おみくじ売り場には「凶が出た人は声をかけてください」の張り紙が。
 
ダムの底から龍神が舞う神社へと復興した理由。
 
それは、望月宮司の信念と行動力。
そして、この張り紙に集約された、人を大事にする「思いやり」の力、なのだと思う。
 
 
 

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水源地課
電話:0746-52-0111