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奈良県川上村
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変わるものと変わらないもの~川上宣言モニュメント設置~

変わるものと変わらないもの~川上宣言モニュメント設置~

2020年6月30日

今年に入り、新型コロナウイルスは全世界で猛威を振るっています。
グローバル化が進んだ現代、新型コロナウイルスは瞬く間に全世界を席巻しました。

日本においても経済は大きなダメージを受けると同時にリモートワークが急速に普及し強制的に働き方の見直しをせざる得ない状況である。
本村においても、外出自粛の要請や職員の交代勤務など今までにない時間の使い方を余儀なくされている。

そんな既存のパラダイムが壊れた「有事」にこそ共感の持てる目指すべき未来を共有し、前例にとらわれることなく進んでいくことが重要なことだろう。

川上村には、平成8年に全国に向けて発信した「川上宣言」が存在する。

一、私たち川上は、かけがえのない水がつくられる場に暮らすものとして、下流にはいつもきれいな水を流します。
一、私たち川上は、自然と一体となった産業を育んで山と水を守り、都市にはない豊かな生活を築きます。
一、私たち川上は、都市や平野部の人たちにも、川上の豊かな自然の価値に触れあってもらえるような仕組みづくりに励みます。
一、私たち川上は、これから育つ子供たちが、自然の生命の躍動に、すなおに感動できるような場をつくります。
一、私たち川上は、川上における自然とのつきあいが、地球環境に対する人類の働きかけの、すばらしい見本になるよう努めます。

5か条からなるこの宣言文。
本村ともつながりのある早稲田大学名誉教授 宮口侗廸氏に依頼をし、書き上げていただいたものである。
平成30年12月奈良新聞に掲載した川上宣言企画特集の中で、宮口氏は川上宣言を書き上げた当時の心境を以下のように語っている。

「地理学者である筆者には、都市には都市の価値があり、山村には山村の価値があるはずだという持論があるが、都市経済の急成長は、都市以外の価値が育ちにくく見えにくい世の中をつくってしまった。吉野林業の発祥の地として栄えた林業も低迷の時代を迎えていたが、平野部に価値ある水を供給するダムの建設のさなかにあって、なお奥地に清らかな水を持つ村が、水源地の村づくりを高らかに宣言しようという発想はまさに自然の価値の再認識の時代にふさわしくこの上なく嬉しく思った。」

川上宣言特集.PDF(1MB)

川上村においては、平成6年に第3次総合計画 吉野川源流物語 を策定し、水源地の村づくりを掲げ、川上宣言の具現化こそ川上村の存在価値であり、目指すべき未来として取り組んできた。
「この目標の達成に向かって、自分の仕事をこう変えてみよう」そう思うことができる、SDGs(持続可能な開発目標)と同じ未来を見据えている宣言だと感じます。

コロナ禍においてもこの目指すべき未来は決して変わることのない目標であろう。
川上村に関わる全ての人が、今一度川上宣言という言葉と触れ、自分の役割を再認識する場として川上宣言モニュメントの建設を進めている。
令和元年度には、大滝ダムの見渡せる旧オオスギ広場駐車場、道の駅杉の湯川上、大迫ダムの3か所に設置した。
いずれの場所も、きれいな水を流す役割や自然と一体となった産業を育む役割などを担ってくれている場所である。
是非モニュメントを訪れていただき、自分の役割と村の目指すべき目標をつなぎ合わせるツールとして活用いただきたい。

DSC_0200.JPG

一方、コロナ禍は社会のありかたを大きく変えようとしている。
一つの場所で働くことが当たり前であった中から場所を選ばず働くあり方が急速に普及し、労働者を場所の制約から解き放とうとしている。
何の制約を受けずに、本当に自分がいたい場所にいる。そんな生き方を実現しやすい世の中になっていくのではないだろうか。
その中で、都市以外の価値を守り育て、内外にアピールしていくことは今まで以上に重要になってくるのではないだろうか。

前例にとらわれず変わるべきところは柔軟に変えていき、変わらない「都市にはない豊かな暮らしの実現」に向け歩みを進めていきたいと思う。

お問い合わせ

水源地課
電話:0746-52-0111