公開日 2017年4月12日
●ライター:岩本寛生(川上村地域おこし協力隊 やまいき市実行委員会代表)
2017年3月17日〜20日までの4日間、「紀の川じるしの見本市」が開催されました。場所は和歌山県紀の川市のファーマーズマーケット紀ノ川ふうの丘直売所。ここは普段農協の直売所として、安くて新鮮な農産物を求めてやってくるお客さんで賑わっている場所です。今回はこのイベントに、私たちもスタッフとして参加させていただきました。
その一画で行われたのが「紀の川じるしの見本市」でした。
紀の川じるしのコーナーは遠くから見ても目立つように鮮やかな赤色の暖簾で統一されていました。
「紀の川じるし」とは、奈良県川上村を源流とする紀の川(奈良県では吉野川)の一本の川のつながりの中で水が育む山、大地、海の産品を一緒に販売しようという試みです。
上流では林業、中流では農業、そして下流では漁業というように、質の高い一次産業をつなぎ、水の恵みを届けています。
これらの産業を元気につなげていくことは、紀の川流域の水環境や景観・風土を守り育てていくことにつながるのです。
そんなこだわりの気質が詰まった流域の恵みが、「紀の川じるし」の旗印のもとに商品として集まりました。
期間中は直売所のスタッフの方にも快くお手伝いいただいて、私たちも直売所の一員になったような気持ちで来店されるお客さまに接客をしました。
休日の3日間、奈良県や和歌山県で親しまれる伝統的な家庭料理茶がゆのふるまいも100食限定で行われ、2時間しないうちに完食するほどの大盛況。
この茶がゆは和歌山市の社会福祉法人一麦会さんのご協力をいただき実現したもの。源流の村川上村の綺麗な水と和歌山のお米を使って作られた、いわばコラボ商品なのです。
また直売所内に併設されたCafé mulino(カフェ ムリーノ)さんでは、今回のイベントに合わせて紀の川じるしのランチプレートをご用意していただくという粋な計らい。とっても美味しいプレートランチでした。
普段は一緒に販売することのない上流・中流・下流の生産者が同じ暖簾と手ぬぐいのもとで一つになって販売していく、その一体感がまるで同じ部活動をしているようで楽しかったです。
またプロの店頭販売や商品の陳列方法を間近で見ることができて、とても良い勉強をさせていただきました。
生産者同士も店頭に立って各々に情報共有しながら、お互いに良い刺激を受けていらっしゃるようでした。
期間中、紀の川の源流の川上村より栗山村長、春増議長も立ち寄ってくださいました。
現代日本には様々な消費が溢れています。そんな溢れる消費の中、お客さまが「紀の川じるし」の商品に対して消費行動をとってくださったということには、大きな意味があるのではないでしょうか。
はじめは直売所に農産物を目当てにやって来られるお客さん相手に販売は難しいのではないかと思っていました。
しかし、期間中多くのお客さんが暖簾の前に足をとめてくださり、リーフレットや商品を手にとって「良い取り組みやね。」と声をかけてくださいました。
また意外と、多くのお客さんが紀の川がどこから流れてきているのかを知りませんでした。一本の川のつながりに対する認識を共有していくことは、環境に意識を向けることの第一歩なのだと改めて感じました。
単に環境活動に取り組むというだけではなく、この商品がどんな生産者の手によって育まれ、どんな場所で生まれてきたのか、商品の背景にある物語や水のつながりに少しでも想いを馳せてもらえたのならば、今回の見本市は大成功です。
この見本市の期間が終わったあとも、ふうの丘直売所の一画には紀の川じるしの商品が並べられています。
「紀の川じるし」が一つのブランドとして店頭に並ぶ日も近いかもしれませんね。
写真提供:源流館事務局長 尾上 忠大
紀の川じるしについて詳しくは こちら をご覧ください。