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「あの人ね」で語られる、顔の見える繋がり ~小さな村の温かい役場~

「あの人ね」で語られる、顔の見える繋がり ~小さな村の温かい役場~

2019年1月28日

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川上村では、色んな人が参加しながらホームページを使って情報発信する「 むらメディアをつくる旅 」を開催しています。今回は川上村役場で働く森本倫巨(ともみ)さん、鈴木健太さんをインタビューし、インタビューに参加した2名(山本ひろとさん、冨羽一成さん)が記事を作りました。このページには山本さんの記事を代表例として掲載していますが、外部ブログに冨羽さんの記事も掲載しています。

 

▼冨羽一成さん

人口約1300人の村役場。 都会の役場とはちょっと違う、利害を超えた「村民と役場」の関係とは。

 

▼山本ひろとさん

 

「あの人ね」で語られる、顔の見える繋がり ~小さな村の温かい役場~

 

皆さんは、お隣さんがどんな人か知っていますか?

え?「それぐらい知っている」って?

では、あなたの住む地区のあなたの家から一番離れたところに住んでいる人は?あるいはあなたの住む自治体の役所の職員さんは?

ここまで知っている人は、皆さんの中ではかなり少ないかもしれません。

 

今回の「むらメディアをつくる旅」では、人口約1300人の村、川上村の村役場に勤める、森本倫巨(ともみ)さん(定住促進課)、鈴木健太さん(水源地課)の二人にインタビューしました。森本さんは保育園から役場に移って5年目、鈴木さんは新卒1年目です。

 

僅かな時間のインタビューで得られたのは、人口規模の小さな自治体だからこその、顔の見える繋がり、人の温かさ、そして現代の都市部において失われつつある役所本来の在り方のようなものが随所に見られる、とても面白い内容でした。

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●役場に勤め始めたきっかけ

 

 都会の暮らしが便利だと感じることも多い今の時代に、どうしてこの村の役場を職場として選んだのか。大学生である私と年齢の近い鈴木さんのエピソードを中心にしながら考えてみたいと思います。

 

鈴木さんは、通っていた大学のある広島の企業から内定をもらっていましたが、川上村役場を選びました。祖母が川上村出身で、幼いころからお盆などに帰省していて、「縁」があったそうです。また、都会の人混みが好きではない事や、大学在学中から自然の事を勉強していて、それらのことも今の職場を決めるきっかけとなったそうです。

 

 住むのに不便ではないか?という心配は、親も本人もあったそうですが、いざ来てみるとそれらのことはほとんど問題にならなかったそうです。そこには、小さな村ならではの大きなメリットがありました。

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●繋がりとモチベーション

 

 新しい世界に飛び込むときは、誰でも不安を感じるものです。そこで上手くいくかは、本人はもとより、その周りを取り巻く環境が大きく影響します。では、鈴木さんがどうして問題なく生活に馴染めたのか。答えは繋がりにありました。

 

新生活を取り巻く環境の一つに職場があります。川上村役場は職員の数もあまり多くありません。だからこそ、職員同士が繋がりやすく、職場の雰囲気が良いそうです。

 

そこで、森本さんが面白いことを教えてくださりました。なんと、村長が仕事の合間に職場に来て、職員に声をかけてくれるのだそうです!都市部の役場に首長が来ることはたまにあっても、一人ひとりに声かけをするなんてことは、あまりないかもしれません。この役場では、村長を含めて、全ての職員が「顔の見える繋がり」を持っているのです。森本さんも繋がりのおかげで、つらいことを職場の仲間に相談して乗り越えたこともあったそうです。このことはきっと、鈴木さんが新しい環境に上手く溶け込めた、一つの理由だと思います。

 

●繋がりと温かさ

 

 新生活を取り巻く環境の二つ目に、ご近所さんとの関係があります。鈴木さんは大学生の時にアパートで暮らしていたそうです。そこに越して来た時に隣人に挨拶をしに行ったところ、居留守をされてしまったというエピソードを話してくれました。しかし川上村に移住して来た時は、集落の皆さんに挨拶して回るのが当たり前で、人の温かさを感じたと語ってくださいました。また、冬場には凍結などで水道が使えなくなることがあるので、水を蓄えておくことや、道の凍結に気をつけてね、などご近所さんに色々教えてもらったそうです。ここでは「顔の見える繋がり」が当たり前で、わからない事を聞ける人がたくさんいます。そのような環境も、鈴木さんが村になじむことのできた理由の一つかもしれないと思いました。

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●繋がりと役場

 

 役場は、自治体の中心です。そこで働く職員は、何が求められているのか。今回のインタビューで、現代の都市部において失われつつある役所本来の在り方を再考する、キーワードを見つけることができました。その言葉は「あの人ね」、です。

 

 インタビューが始まって最初のうちは、質問する私たちも、答えてくれるお二人も、多少の緊張からか口数が多くありませんでした。徐々に緊張もほぐれてきたころ、笑いも生まれ、いわゆる「身内話」も挟まれてくる頃に、お二人は、ちょこちょこ「あの人」というワードを使い始めました。私達には誰かわからないのですが、二人の頭の中には「あの人」の顔が浮かんでいるようでした。話を伺うと、森本さんが、「川上村は気さくな人が多く、人と人との距離が近い。道行く人の顔は大体わかるかなあ(笑)」と教えてくれました。そんなお二人にいくつか村の展望や役場の在り方、意義などの質問をしたところ、答えには決まって、「住民」という言葉が入っていました。役場は自治体の中心である。自治体とはつまり住民であり、住民第一に考えるところに、都市部にない温かさのようなものを感じました。例えば、挨拶をする。こんな当たり前なことを当たり前にすることに、大きな温かさを感じることができるのです。

 

●「あの人ね」で語られる村役場

 

 インタビューではまだまだ面白い話を聞くことができ、ここでは触れられなかった話題も沢山ありました。そのなかで、小さな村の役場を考えていく上でのヒントを得ることができました。それは「あの人ね」で語られる顔の見える繋がりであり、温かさを感じる関係性でした。お二人は口を揃えて、「住民に支えてもらっている」、だから「住民を支えていく」と語っておられました。きっと今日も川上村役場では、温かい関係の中で、「あの人ね」語られていることでしょう。

お問い合わせ

水源地課
電話:0746-52-0111