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“生業”の世界 ~好きなこと、やりたいことを地で行く3人のお話~

“生業”の世界 ~好きなこと、やりたいことを地で行く3人のお話~

2019年5月24日

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川上村では、色んな人が参加しながらホームページを使って情報発信する「 むらメディアをつくる旅」を開催しています。今回は元地域おこし協力隊であり、今も川上村で活動されている竹中雅幸さん、岩本寛生さん、エリック・マタレーゼさんにインタビューし、インタビューに参加した3名(山本ひろとさん、大前風花さん、岡田駿さん)が記事を作りました。このページには山本さんの記事を代表例として掲載していますが、外部ブログに他2名の記事も掲載しています。

 

▼大前風花さん

やりたいことをやる。川上村で見つけた、これからの地域おこし

 

▼岡田駿さん

「今を楽しんでいく 千里の道も一歩から」~川上村 地域おこし協力隊物語~

 

▼山本ひろとさん

 

“生業”の世界 ~好きなこと、やりたいことを地で行く3人のお話~

 

「昨今、加速する人口減少と高齢化の影響から、地方における山間地域の村落の維持が危ぶまれている。」と言うセリフは、都会に溢れています。その一方で、その山間地域にはどんな人がいて、どんな暮らしが送られているのか、という事にはあまりスポットが当たりません。あなたは、高齢化率が50%を超える村には、どんな人が暮らしているのか、気になりませんか?

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 今回は、奈良県川上村主催の「むらメディアをつくる旅」を通じて、川上村で地域おこし協力隊、或いは“元” 協力隊として村内で活躍されている竹中雅幸さん、岩本寛生さん、そしてエリック・マタレーゼさんのお三方  にインタビューをさせていただきました。お話の中から見えてきたのは、生きることを、そして仕事を楽しむ “生業”の世界と、未来の地域の在り方の一片でした。

 

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ツアーを企画している竹中さん(左端)

 

 地域おこし協力隊として、様々な所から川上村に来られたお三方ですが、初めから川上村を選んできたというよりは、偶然の縁からここに来たと言うほうが正しいかもしれません。

 

 旅行会社でサラリーマンとして働いていた竹中さんは、転職を考えているときに、たまたま「日本仕事百貨」のイベントで川上村、そして協力隊という仕組みに出会ったそうです。大学の時に山岳部で活動しており、登山などのアクティビティが好きだったため、協力隊二年目からツアーインストラクターとして、任期終了後の今に至るまで川上村で活動されています。

 

 そんな竹中さんに、川上村について伺うと、顔の見える距離感による関係性が、都会にはないもので好きだと答えてくださりました。今では、川上村が第二の実家であると感じておられるようです。また活動の原動力と今後の展望について伺うと、一番の原動力はツアーに参加してくれる人たちであるとおっしゃっていました。参加者からの感謝の言葉や、楽しんでいる様子が、原動力の一つだそうです。今後は、例えば年齢制限で参加できなかったお子さんが数年後に来た時でも、その子が参加できるよう、変わらずに活動していたいとのことでした。今来てくれている子どもたちが大人になるまで続けていきたいとのことです。

 

 竹中さんは、2人の仲間と3人で、年間10近くのツアーを企画しています。もちろん商売としてやっているのですが、本質はそこにはないとのこと。自身も楽しみ、お客さんも楽しむ、その過程が大事であるとのことでした。

yamamoto04.jpgやまいき市を運営する岩本さん(左端)

 

 現在、協力隊の先輩から「やまいき市」という、地元の野菜などを販売する朝市を引き継いでおられる岩本さんも、この川上村に来たのは大きな目的や希望があったからではなく、「日本仕事百貨」というウェブサイトで偶然知ったことがきっかけだったそうです。現在は、協力隊の任期を終え、地域支援員という別の形で、川上村を中心に活動しています。

 

 先輩協力隊の仕事を引き継いだ岩本さんですが、実際にこの村に来てからの3年間で生まれた住人との関係性や、やまいき市を応援してくれる声に応えたいという気持ちがあるそうです。もともと、先述の竹中さんや後述のエリックさんのようにやりたいことが明確にあるわけではなかった岩本さんが、やまいき市を続けることが出来た原動力とは何だったのでしょうか。

 

 それは、野菜を提供してくれるおばあちゃん達の生業を維持したいという気持ちだと、岩本さんは教えてくださりました。協力隊の任期が切れるときに、やまいき市をたたむ事も考えたそうですが、毎週欠かさず野菜を提供してくれる地元の人のためにも、続ける事が大切だと考えたそうです。

 

任期が切れた今も、地域支援員としてやまいき市を続けておられる岩本さんは、今後もおばあちゃんの生業の維持のためにも、継続していきたいと語ってくれました。

yamamoto05.jpg作家として活動するエリックさん

 

 エリックさんは、全国でも珍しいアメリカ出身の協力隊です。川上村に来る前は、半導体関係の会社で、翻訳の仕事をしていたそうです。川上村に縁も所縁もないエリックさんがこの村に来られたのも、友人の紹介という事で、ある意味では偶然でした。

 

 エリックさんは、日本語のコンテクストの複雑さと、生業を楽しんでいる川上村の住人の存在を「おもしろい」と感じているそうです。そしていま、エリックさんは「オイデ新聞」という新聞を制作し、川上村にいる面白い人や地域での出来事を“ひかるもの”として記事にしています。また、全国紙である「ソトコト」でも連載記事を執筆しています。

 

 そんなエリックさんは、とち餅を作る人の話をしてくれました。とち餅は、3カ月の灰汁抜きが必要で、非常に手間がかかるそうです。それを毎年続けておられる方から、「とち餅を作ることが楽しいから手間暇も苦にならない」という話を聞いたそうです。この方は、まさに生業を地で行く人でした。その様な人たちが沢山いる川上村を、エリックさんはおもしろいところだと感じたそうです。

 

 2019年3月で協力隊の任期が満了を迎えますが、集落支援員として川上村で活動を継続されるそうです。自分が好きだと思える今の活動を続けていきたいと考えている、とのことです。

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 今回のインタビューの中で、お三方は「自分の好きなことをしている」のであり、「村のために何かをしなければ」という考え方ばかりではないことがとても印象的でした。自分のしたいことが、結果として誰かのために、ひいては村のためになっているのであり、あくまでも根底には自分のしたいこと、自分が好きなことがあると感じました。

 

 SNSの発達やグローバル化により、人の繋がりが広域化していく現代で、一方では人の繋がりが広く浅くなっていると感じることも増えてきています。特に、人口減少と高齢化が進む山間部の村落は、コミュニティの維持すらもが難しいと言わざるをえません。

 

 そのような地域においては、「住民全員が村のために」ではなく、いい意味での個別化、「各々の好きなこと、やりたいことが結果として村のために」なるコミュニティが形成されていくのかもしれません。仕事が生きがいに、楽しいことを仕事に、という“生業”の世界をつくりつつある川上村は、そのような未来の村落の先駆けなのかもしれません。

 

 

 

 

▼竹中さんの取り組み

・ちくちゅー登山ガイドサービス

・山遊び塾yoiyoiかわかみ

 

▼岩本さんの取り組み

・やまいき市

 

▼エリックさんの取り組み

anaguma文庫

 

※今回のインタビュー場所:井氷鹿の里

お問い合わせ

水源地課
電話:0746-52-0111