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川上村環境基本条例

川上村環境基本条例

2017年3月30日

目次

前文
第1章 総則(第1条-第8条)
第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針(第9条)
第2節 環境基本計画(第10条)
第3節 環境保全及び創造のための施策等(第11条-第25条)
第4節 推進体制の整備等(第26条-第27条)
第5節 環境審議会(第28条-第34条)
附則

前文
 私たちの住む川上村は、近畿の屋根と言われる台高山脈や大峰山系に囲まれた奈良県の南東部に位置する。地形は台高山脈から流れる吉野川・紀の川が村の中央部を貫流してV字谷を形成し、ほとんどが急峻な山岳地帯である。これらの山々は杉や桧の育成に適し、吉野杉の主産地を形成し、急峻な地形は壮大な渓谷美を生み、石灰岩質の地質は神秘的な鍾乳洞となり、古くから温泉も湧き出ている。源流域には、ニホンカモシカや三之公トガサワラ原始林など、貴重な野生動植物が生息している。さらに、大迫ダム、大滝ダムの2つのダムが建設されていることから、下流域にかけがえのない水を供給する水源地としての非常に重要な役割を担っている。
川上村はダムと共存し、林業の振興、水源地としての自然環境を守ることを積極的に果たしていく使命として「水源地の村づくり」に取り組む決意をし、「川上宣言」を全国に向けて発する等、自然と共生する村の基本施策に反映してきた。これらの取り組みは、近年の物質的な豊かさや便利さを追求し、環境への負荷を増大させ、地球全体を脅かすまでに至った環境問題の解決にも、大きく貢献できる活動である。
もとより、川上村に残る健全で恵み豊かな環境は、健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできないものであり、私たち一人ひとりがその有限性を深く認識し、将来の世代に継承していくため、その保全に努めなければならないものである。
ここに、村、事業者、村民及び本村への来訪者、下流域又は都市に住む人々など、多くの主体の参画の下に、豊かで美しい川上村の環境を保全し、創造するとともに、これを将来の世代に引き継いでいくため、この条例を制定する。

第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに村、事業者、村民及び村への来訪者等の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって、「水源地の村づくり」の一層の発展と村民の暮らしへの定着を図り、現在及び将来の村民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(用語の定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語は、当該各号に定めるところによる。

  1. 環境の保全及び創造
    健康で文化的な生活を営むため、健全で恵み豊かな環境の保全と再生、創生を図り、良好な状況で将来の世代に継承していく活動のことをいう。
  2. 環境への負荷
    人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
  3. 公害
    環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の状況が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤沈下(鉱物の採掘のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。
  4. 地球環境の保全
    人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに村民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
  5. 循環型社会
    廃棄物の発生の抑制や資源の循環的な利用の促進と適正な処分の確保により、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される社会をいう。
  6. 良好な環境
    村民が健康で文化的な生活を営むことができる生活環境、自然環境、歴史文化環境をいう。

(基本理念)
第3条 環境の保全及び創造は、「水源地の村づくり」を一層発展させ、村民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、その環境が将来にわたって維持されるように、適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、すべての者が環境への負荷を低減するとともに、その他の行動を自主的かつ積極的に行うことによって、持続的発展が可能な社会が構築されるように、行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、豊かな自然環境及び文化遺産並びにこれと一体をなす歴史的風土を生かし、潤いと安らぎのある快適な環境が確保され、地域が活性化するように、行われなければならない。

4 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球全体の環境に関わっていることから、地球環境の保全に資するように、行われなければならない。

(村の責務)
第4条 村は、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 村は、自らが環境の保全及び創造に資する取組みを、率先して実行するとともに、事業者、村民及び本村への来訪者等(以下「村民等」という。)の環境の保全及び創造への取組みを積極的に支援するよう努めるものとする。

(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合、その適正な処理が図られるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 事業者は、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品等が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に努めるとともに、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等の利用に努めなければならない。

4 事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、村が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(村民の責務)
第6条 村民は、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に、自ら積極的に努めなければならない。

2 村民は、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、地域における環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(来訪者等の責務)
第7条 通勤又は旅行、レクレーション、交流、学習などの目的で本村に来訪する者であっても、前条に定める村民の責務に準じて、環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(環境の状況等の公表)
第8条 村は、毎年、環境の現状及び環境の保全及び創造に関して講じた施策について、これを公表するものとする。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策
第1節 施策の基本方針
(施策の基本方針)
第9条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、次に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の連携を図りつつ総合的かつ計画的に行うものとする。

  1. 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
  2. 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存、その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、水辺地等における多様な自然環境が地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。
  3. 下流にはいつもきれいな水を流す水源地域であることを一人ひとりが理解し、行政機関(村、国及び県)、事業者、村民等が偏りなく一体となって豊かな環境の保全と創造に取り組み、村民の暮らしの向上、地域活性化に寄与すること。
  4. 資源及びエネルギーの利用等における物質循環を促進するために、森との新たな関わり方や、樹とともにある暮らしの魅力を見直し、森林の多様な働きの維持に努めること。
  5. 自然、歴史文化と人との豊かなふれあいを保ちながら、その価値を村外の人々にも伝え、共有し、広く流域全体の大切な資源として、連携協力のもとに守り育てていくこと。
  6. 村内外の人々が、自然の生命の躍動にふれ、素直に感動し、自分との関わりに気づき、行動へとつながるような環境教育の積極的な推進に努めること。
  7. 本村で育んできた、山村における自然とともに上手く生きるための先人の知恵や技術を活かし、風土に合った持続可能な生活様式の構築に取り組み、それが下流域又は都市での暮らしにおいても見本になるよう努めること。

第2節 環境基本計画
(環境基本計画の策定)
第10条 村は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、前条の基本方針に基づき、川上村環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

  1. 環境の保全及び創造に関する長期的な目標及び施策の大綱
  2. 前号に掲げるものの他、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 村は、環境基本計画を定めようとするときは、あらかじめ、第28条に定める川上村環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 村は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

第3節 環境保全及び創造のための施策等
(村の施策の策定等にあたっての配慮)

第11条 村は、環境の保全及び創造に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。

(環境への配慮の促進)
第12条 村は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者(以下次条までにおいて「開発事業者」という。)がその事業の実施に当たり環境の保全及び創造について配慮すべき事項を定めるとともに、自ら積極的に配慮することを促進するため、その普及に努めるものとする。

(環境影響評価の推進)
第13条 村は、開発事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめ当該事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、当該事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(規制の措置)
第14条 村は、良好な環境の保全を阻害する行為に関し、必要な規制の措置を講じなければならない。

(経済的措置等)
第15条 村は、村民等が率先して環境への負荷を低減させることを促進するために必要がある場合、経済的な支援及び技術的助言等の措置を講ずるよう努めるものとする。

2 村は、環境への負荷を低減させるため、特に必要がある場合、村民等に適正な経済的負担を求めることができる。

(環境の保全及び創造に資する施設の整備等の推進)
第16条 村は、公共的施設及び森林・その他の良好な環境形成に欠かせない空間の整備や、環境への負荷の低減を行う場合に、環境への配慮がなされる有効な事業を選択するように努めるものとする。

(良好な景観の形成)
第17条 村は、豊かな自然と調和のとれた良好な景観の形成を図るため、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)
第18条 村は、村民等による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量等が促進される循環型社会を構築するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境管理の促進)
第19条 村は、事業活動が環境に与える影響について、事業者が自主的に行う環境管理の実施が促進されるように、その普及に努めるものとする。

(環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進)
第20条 村は、環境の保全及び創造に関する教育と学習機会の拡充を図り、村民等の環境問題に対する理解と認識を深めるとともに、良好な環境の保全につながる活動を行う意欲の増進に努めるものとする。

(児童及び生徒の施策への参加促進)
第21条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施する場合において必要と認めるときは、児童及び生徒の意見を聴くとともに、参加を促進するよう努めるものとする。

(情報の提供)
第22条 村は、環境の保全及び創造を促進するため、個人及び法人の権利や利益の保護に配慮しつつ、必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(調査研究の実施)
第23条 村は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び適正に実施するため、環境の現状の把握及び変化の予測、その他必要な事項の調査研究を行うものとする。

(監視等の実施)
第24条 村は、環境の状況を把握し、並びに環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定、試験、検査等を行うものとする。

(地球環境の保全の推進)
第25条 村は、国や県の施策と相まって、事業者及び村民等と連携して、地球環境の保全に資する施策の推進に努めるものとする。

2 村は、国や県と連携して、他地域との環境の保全に関する情報及び人材の交流等を行うことにより地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第4節 推進体制の整備等
(推進体制の整備)

第26条 村は、村民等の協力の下に、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な体制の整備をするものとする。

(国及び他の地方公共団体等との協力)
第27条 村は、環境の保全及び創造に関し、広域的な取組みを必要とする施策について、国及び他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

第5節 環境審議会
(設置)

第28条 環境の保全及び創造に関する重要な事項を調査審議するため、環境基本法(平成5年法律第91号)第44条に基づき、川上村環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

(組織及び委員の任期)
第29条 審議会は、委員16人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから村長が委嘱する。

  1. 村議会議員
  2. 識見を有する者
  3. 各種団体の代表者及び事業者の代表
  4. 関係行政機関の職員
  5. 公募による村民

3 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)
第30条 審議会に会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるときはその職務を代理する。

(会議)
第31条 審議会は会長が招集し、会長が議長となる。ただし、審議会を初めて招集するときは、村長が招集する。

2 審議会は、委員の半数以上の出席がなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数の場合は議長の決するところによる。

(特別委員)
第32条 審議会に、専門の事項を調査するため必要あるときは、特別委員を置くことができる。

(庶務)
第33条 審議会の庶務は、環境基本計画を担当する課において行う。

(その他)
第34条 第28条から前条に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

附則
この条例は、公布の日から施行する。

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