No.11
Workshop "APPLE JACK"
温かさと繊細さを感じさせる吉野杉の木器。
父と息子がつないでいく、
川上村の木のぬくもり。
川上村の山奥に佇む工房アップル・ジャック。
ここで、川上村出身の小林清孝さん、兵庫さん親子が
木工雑貨や木器を作っています。
親子でありながら、師弟関係でもある
お二人の仕事や作品へのこだわりをうかがいました。
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見とれるほど、やわらかい表情の器を
生み出す職人親子。お茶碗、湯飲み、ぐい呑み、トレー、お皿…。部屋に並ぶ木器の数々。工房には、吉野杉や吉野檜の角材が高く積み上げられています。木の香りが広がる中で、普段使いの木器を丁寧に仕上げていく小林さん親子。お父さんの清孝さんは川上村の出身で元自衛隊員。木工職人への道を目指して村に戻り木工所で経験を積んだ後、7年前に独立して工房アップル・ジャックを設立しました。木用ろくろを使い、ミリ単位で美しい器を作り出す様は、まさに熟練の職人技です。硬い木材が素材とは思えないほど精巧な一点物をはじめ、オーダーメイドの指名があるほど。 「ろくろと向き合う親父の背中をずっと見て、『長時間集中することが苦手な自分にはできない』と思い込んでいた時期もありました」と息子の兵庫さん。それでも、清孝さんの大切な匠の技を受け継ぐために、仕事が終わってもろくろを回し続け、修行する日々を送っています。
大人になり、はじめて気づいた、
父が手がける木工のおもしろさと奥深さ。「高校卒業後、一度村を出たんです。なんとなく親父は越せないなぁと思って。でも、職人という存在は小さい頃から身近だったので憧れていて。パティシエの専門学校に入学し、ケーキ屋に就職しました」。ある時、清孝さんから「新しい工房を手伝ってほしい」と連絡が。厳しいパティシエの世界を経て、以前より集中力が身についていると判断し、川上村へ戻ることを決めました。「あれだけ『自分にはムリ』と思っていたんですけど、木そのものが好きになっていって。同じ種類の木材でも、硬さも、木目も、削りやすさも一本一本違い、実際に切ってみないと分からないワクワク感もあったり。木の魅力に気づいてからは本を読んだり、親父の技を盗んだりして、応用ができるようになり、自分で学ぶ楽しさも身につきました。今、昔の作品を見返すとお客様には出せないものが100個以上はあると思います(笑)」。
これからを担う自分たちの成長で、
村を盛り上げたい!
林業の村で育まれる職人魂。「父は具体的なアドバイスが少なめな師匠」なのだそう。そんな清孝さん、実は息子のUターンは内心嬉しかったそうです。「私たちの工房の他にも、たくさんの木工所が村で運営されています。木工は扱う素材が大きいのでなかなか一人ではできない仕事。林業の歴史がある川上村を木工所から盛り上げていく意味でも、たくさんの木工職人が育ってほしいですね。これからの世代も、みんなで仲良く川上村の歴史を受け継いでいってほしい」。そんな父の願いを兵庫さんは受け止めます。「川上村って地理的に木工に必要な広い土地の確保が難しい場所なんです。素材の木はたくさんあるんですけど…(笑)。だから、親父たちは工房同士でつながってお互いに支え合っています。僕らの代もそうすべきだし、外からも内からも木工職人が川上村に集まってほしいなと。僕自身、これからも川上村で腕を磨いていきたい。もっと力をつけて、壷のような大きな作品に挑戦したいし、木目を生かした漆器など、どんどん幅を広げていきたいと思っています」。事前予約制で工房の見学、体験が出来ます。器の販売も行っているので、お気に入りの器が見つかるかも。
工房アップル・ジャック TEL:090-5128-2151
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暮らす宿「HANARE」のアクティブママオーナー。