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奈良県川上村
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川上村の歴史・文化財

川上村の歴史・文化財

2017年3月30日

2千有余年の歴史ある村

 川上村の歴史は、出土した遺物によると縄文時代までさかのぼることができます。古事記、日本書紀には神武天皇の井光や雄略天皇の蜻蛉野(あきつの)にかかわる地名伝承もあります。万葉の時代には天皇行幸や歌人が訪れるなど、古くから景勝の地として知られていました。

 木地師(きじし)の祖である惟高(これたか)親王は、貞観九(867)年に高原地区に入り、木地の製法を教えたといわれています。福源寺には、応徳二(1085)年の木造薬師如来坐像があり、井戸地区には承安三(1173)年に造られた木造の薬師如来像もあることから、すでに平安時代後期には、高原や井戸地区には集落が形成されていたと思われます。

 また、川上村には、源義経伝説を物語る太刀屋や鎧崖といった地名もあり、中でも白屋地区には、今まで白谷と称していた地名を義経が八幡神社に矢を奉納したことから白矢と改めたという言い伝えが残されています。さらに、天武天皇四(675)年に創祀されたと伝えられる丹生川上神社上社や十二社神社、牛頭天王神社、三之公神社、天神社など謂れある神社がいくつも散在しています。また、東川の運川寺には、正平十四(1359)年に書き写された大般若経六百巻も所蔵されており、川上村の深い歴史の片鱗を知ることができます。

 早くから温泉地として開けた入之波(しおのは)温泉は、元禄七(1694)年に、「御夢想塩湯」という版木を使って宣伝していました。村人の娯楽としては、人形浄瑠璃や歌舞伎などの地芝居が盛んになり、井光地区には、当時地芝居に使った衣装が数多く残っています。

木造薬師如来坐像(福源寺)
木造薬師如来坐像(玉峰寺)

哀しくもロマンあふれる南北朝時代

 川上村は後南朝の舞台としても歴史に名を連ねています。

 1336年に後醍醐天皇が吉野に御座を移されてから約60年。元中九(1392)年、足利義満の呼びかけに応えて後亀山天皇が京都に遷幸され、南北朝の歴史もようやく幕を下ろしたと思われました。しかし「皇位は両朝交互に与えられる」という約束も守られず、南北朝の合体は実質的には南朝の消滅となりました。後亀山天皇の皇子、実仁親王は、幕府に抗議し戦いますが、川上村に潜幸され、嘉吉三(1443)年に崩御されます。そして、同年ついに「嘉吉の変」に乗じ、小倉官の皇子である天基親王と円満院宮が京都へ進攻して三種の神器のひとつ神璽(しんじ)を奪い、吉野南山に御所を置きました。

 一方この変が起こる以前に、天碁親王と円満院宮の弟・尊義王は近江から川上郷に移り住んでおり、尊義王は兄の円満院宮から神璽を譲られ、皇子の尊秀王(一ノ宮、自天王)と忠義王(二ノ宮、河野宮)を連れて、三之公(さんのこ)に御所を構えました。しかし、尊義王は南朝の再興を果たすことなく45歳で病死してしまいます。

 その後、自天王は北山郷(奈良県上北山村)に、忠義王は河野谷村(神之谷)にそれぞれ御所を構え、南朝の夢を果たそうとします。ところが、嘉吉の乱により滅ぼされた赤松家の家臣が、お家を再興させるため、当時、北朝方や将軍家が血まなこになって探していた神璽を南朝から奪回することを企てました。
 長禄元(1457)年12月2日の夜、赤松の家臣により2つの御所が襲撃され、自天王は18歳の若さでこの世を去り、忠義王は御所で討死、あるいはその場は死地を脱したものの、本村の高原で最期を遂げたと伝えられています。

 この惨事はいちはやく川上郷に伝えられ、郷土たちは、自天王の首と神璽を手に逃走する赤松の郎等を迎え撃ちます。塩谷村(北塩谷)の名うての射手・大西助五郎は、郎等の頭であった中村貞友を見事射止めたと伝承されています。郷士たちは皇子の首と神璽を取り返し、首は金剛寺に手厚く葬られたと伝えられています。しかし1458年、赤松の残党に神璽を奪われ、これによって赤松家はお家再興の悲願を達成します。

 このように後醍醐天皇から始まった南朝の血は絶え、南北朝の動乱は終焉を迎えましたが、川上郷土たちの雄志は代々語り継がれ、毎年2月5日には、自天王を偲び、新年拝賀の儀式として朝拝式が、560年あまり経っても絶えることなく今日まで続いています。

金剛寺
朝拝式

川上村内指定文化財一覧表

国指定文化財

区別・種別 名称 時代 所在地 指定日等
重要文化財 美術工芸品 自天王遺品
兜[はなだいろいとおどしすじかぶと]・金具・大袖
南北朝 神之谷212・金剛寺 S14・ 2・27 国宝指定
S25・ 8・29 重文指定
木造薬師如来坐像[在体内銘] 平安 高 原902・福源寺(収蔵庫) S14・ 9・ 8 国宝指定
S25・ 2・15 重文指定
特別天然記念物 かもしか   村内全域 S 9・ 5・ 1 指定
S25・ 2・15 特別指定
天然記念物 三ノ公川トガサワラ原始林   神之谷字三之公429-2番地 S 4・12・17 指定
イヌワシ   村内全域 S40・ 5・12 指定
史跡 紀伊山地の霊場と参詣道「大峯奥駈道」 古代
~現在
西河奥山257-11先
~下多古字長尾502-1(国有里道)
伯母谷字ワサビ谷277
~同278-6 (民有山林)
H15・12・19国指定
H16・7・7 世界遺産登録

県指定文化財

区別・種別 名称 時代 所在地 指定日等
天然記念物 かわのり   入之波通称ごうすぎ谷燧(ひうち)石 S29・ 3・ 2 指定
大台ケ原さんしょう魚   村内全域 S29・ 3・ 2 指定
十二社神社社そう[暖地性植物自生地]   中奥78・十二社神社裏山 S60・ 3・15 指定
不動窟鍾乳洞   柏木字山津谷350-3 S57・ 3・12 指定
ケグワ   人知~迫 H12・ 3・31 指定
美術工芸品 雲祥一筆大般 若経[六百巻] 南北朝 東川854・運川寺 H10・ 3・20 指定

村指定文化財

区別・種別 名称 時代 所在地 指定日等








自天王遺品[国指定外の太刀・長刀・胴丸] 南北朝 神之谷212・金剛寺 (収蔵庫) S54・ 9・10 指定
木造地蔵菩薩立像 平安 神之谷212・金剛寺 (本堂) S56・11・9 指定
木造釈迦如来坐像 平安 神之谷212・金剛寺 (本堂) S58・ 6・22 指定
木造僧形坐像 平安 神之谷212・金剛寺 (本堂) S56・11・9 指定
木造釈迦如来坐像[在体内銘] 平安 西 河649・徳蔵寺 (釈迦堂) S58・ 6・22 指定
木造阿弥陀如来坐像 室町 西 河649・徳蔵寺 (本堂) S58・ 6・22 指定
木造釈迦如来坐像 平安 高 原902・福源寺 (本堂) S63・ 9・26 指定
木造観世音菩薩坐像 鎌倉 高 原902・福源寺 (本堂) S63・ 9・26 指定
木造天部形立像 [あ 形像] 平安 高 原902・福源寺 (収蔵庫) S63・ 9・26 指定
木造天部形立像 [うん形像] 平安 高 原902・福源寺 (収蔵庫) S63・ 9・26 指定
木造天部形立像 [あ 形像] 鎌倉 高 原902・福源寺 (本堂) S63・ 9・26 指定
木造天部形立像 [うん形像] 鎌倉 高 原902・福源寺 (本堂) S63・ 9・26 指定
藍韋包大袖 [あいかわつつみおおそで] 南北朝 高 原902・福源寺 S63・ 9・26 指定
梵鐘 江戸 井 光348・観音寺 (鐘楼) S54・ 9・10 指定
典籍 大般 若経[六百巻] 南北朝 高 原902・福源寺 S63・ 9・26 指定
川上郷三十三霊場絵巻[一巻] 江戸 東 川854・運川寺 H 4・ 9・ 9 指定
石造品 おかげ灯籠[一基] 江戸 井 戸512・十二社神社境内 H12・ 4・25 指定
おかげ灯籠[一基] 江戸 下多古845・天手力王神社境内 H12・ 4・25 指定
建造物 牛頭天王神社社殿 江戸 神之谷212・金剛寺境内 S53・12・20 指定
S60・12・ 9 指定変更
金剛寺堂宇 江戸 神之谷212・金剛寺 S54・ 9・10 指定
史跡 三之公御所跡及び廟所
[かくし平御所跡ー廟所・八幡平御所跡]
  神之谷430-2(三之公 かくし平)
神之谷431-9(三之公 八幡平)
S53・12・ 2 指定
S60・12・ 9 指定変更
小倉宮廟所住吉社[建造物含む]   東川387(字高佐垣内) S53・12・ 2 指定
無形文化財 民俗文化財 弓祝式[弓会式]   東川1180・烏川神社
東川 853・運川寺
H12・ 4・25 指定
朝拝式   神之谷212 金剛寺 H22・4・21 指定
有形文化財 天然記念物 ヒメイノモトソウ   不洞窟鍾乳洞入口付近 H25・12・5 指定
「明神滝岸壁植物群落及び周辺保護林」   神之谷430-3 430-10 三之公 H13・11・28 指定
「コウヤマキ林」   下多古451・宗像神社境内地 H13・11・28 指定
広葉杉(こうようざん)   西河39 H19・1211 指定
有形文化財 歴史記念物 「土倉翁造林頌徳記念」岸壁碑文   大滝1071 H16・1・21 指定
「土倉翁屋敷跡」   大滝36-1 H16・1・21 指定

指定外の文化財(国重要美術品認定品)

区別・種別 名称 時代 所在地 指定日等












木造薬師如来坐像[在体内銘] 平安 井戸521・玉峰寺
(現在)奈良国立博物館預けて保管中
S4・12・ 17 認定

村の文化財総数

区別・種別 国指定文化財 県指定文化財 村指定文化財
美術工芸品 2 1 14
典籍 - - 2
石造品 - - 2
建造物 - - 2
史跡 1 - 2
民俗文化財 - - 2
特別天然記念物 1 - -
天然記念物 2 5 4
歴史記念物 - - 2
6 6 30
総計 40
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